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2021.04.16 fri

神戸市連携の共創ワークショップ「海と山が育むグローバル貢献都市・神戸を考える」

2021年33日、神戸市と三井住友フィナンシャルグループ共催の共創ワークショップ(WS)を開催しました。自治体として初のGGP連携パートナーとなった同市が抱える社会課題を解決するアイデアを、参加者と共に探索する試みです。テーマは神戸市の総合計画「神戸2025ビジョン」のテーマをなぞった「海と山が育むグローバル貢献都市・神戸を考える」。公募した14名の参加者とファシリテータ、神戸市職員、GGP事務局を交え、具体的な課題について闊達な議論を交わしました。

神戸は古くから海運の要として栄え、江戸時代末期の神戸港開港後も国際貿易都市として発展を続けてきました。異国情緒あふれる港湾都市の背後には六甲山がそびえ、海と山が隣接する自然に恵まれた立地です。

人口は約151万人。日本最大級の客船埠頭や新幹線神戸駅、神戸空港、高速道路網など陸海空の交通要所です。高度成長期に整備された海上都市ポートアイランドには医療関連を中心とした企業、研究施設や大学、娯楽施設などが集積し、市民1人あたりの公園面積が政令都市で第1位を誇るなど、ビジネスからレジャーまで多様なニーズに対応できる魅力がある都市です。

しかし、そのような神戸といえども、少子高齢化や人口減少、産業構造の変化、環境問題など社会課題を抱えています。WSに際し、神戸市は以下の具体的な4つの課題を挙げました。


テーマ1│神戸に関わりたくなるまちづくり

テーマ2│神戸を医療系スタートアップの聖地に

テーマ3│空き地・空き家を活用して地域ににぎわいを

テーマ4│サーキュラー神戸プロジェクト


「これらは神戸市の課題であると同時に、全国の自治体にも共通した社会的な課題。参加者と共に解決の糸口を見つけ、時代の新たな価値やスタイルを創造していきたい」と、神戸市企画調整局企画課の梅澤政策調査担当課長(当時)はWSへの期待を語りました。

WSは、事前に参加者が希望したテーマごとに46名ずつの4グループに分かれ、約2時間の議論を交わしました。まず、解決すべき具体的な課題を抽出し、その後課題解決のアイデアを出す2段階のセッションです。最後にその成果をグループごとに市の担当者にプレゼンテーションを行いました。

市からの問題提起と参加者によるアイデアを、テーマごとに紹介します。

政令指定都市20の中で人口7位の神戸市でも、2011年をピークに人口減少に転じました。市は、SNSを活用した広報「つぶやこうべ」などでまちのファン獲得に取り組んだり、有馬温泉など観光資源を活用したワーケーション促進にも意欲的です。同市企画調整局企画課の竹村総合計画担当係長(当時)は、「まずは関係人口を増やし、これらの人々との関係性を深化させていきたい」と将来像を描いています。

参加者は、「神戸の魅力を伝えること」を課題とし、4つのアイデアを提案。一つめは新しい働き方をつくること。同市は起業支援が充実していることから、分業や副業を含めた新たなワークスタイルを支援し、企業誘致につなげる提案です。

二つめは人の情緒的なつながりを醸成させること。セカンドハウスや民泊体験などを通じて関係人口を増やすというもの。三つめはワーケーションなどを通じた生活体験。最後は、有名なパンを東京で定期購入できるなど「胃袋をつかむ」という斬新なアイデアでした。

竹村総合計画担当係長は、「さまざまな観点からアイデアを頂き、新しい視点を得た。これをヒントに研究を進めたい」と、手応えを述べました。

1995年の阪神淡路大震災からの復興事業として、市は神戸医療産業都市を進めています。ポートアイランドには、理化学研究所などの研究所や大学をはじめ、現在370の企業・団体が進出し、約1万2千人が働いています。さらに医療産業系の企業を集積させ、エコシステムの構築を目指しています。

「技術創出と人材育成をつなげていくことが必要だ」とWSの参加者は課題を設定。そして、資金調達や研究のPR、若い人材の巻き込み、神戸進出のインセンティブを見える化させることなどを提案しました。

同市医療・新産業本部医療産業都市部調査課の丸喜係長は、「短い時間内で色々な意見を頂けた。参加者とより突っ込んだ意見交換がしたい」とコメント。参加した公文教育研究会社長室の後藤美晴室長は「社会課題解決に取り組むためには、あらゆるステークホルダーとの協働が必要。技術・人材・地域をつなぐという視点が参考になった」と感想を語りました。

住宅・土地統計調査によると、全国で850万戸の空き家があるといわれ、その利活用が大きな社会課題となっています。神戸市でも109千戸の空き家を地域の賑わいづくりのために活用したいという意向があります。そこで所有者と利用者のマッチングを行う空き家・空き地地域利用バンク「すまいるネット」を立ち上げ、WEBサイトを運営。マッチング率の向上や利活用のアイデアが、このグループの課題として上がりました。
提案は、時代に合わせたニッチなニーズ(柔軟な利用)に転換していくこと。例えばグランピングや防災拠点、ドローンの実験場など。また、フィールドサーベイやハッカソンなど、創造的なアイデアを出す場づくりの必要性も語られました。

同市都市局空家空地活用課の今井課長(当時)は、「見学会などの機会を設けたい。そこにいろいろな人に参加してもらい、意見をいただいて、活用につなげていきたい」と、利活用の提案を広く募っていく意向を示しました。

神戸市では、2016年に神戸市環境マスタープランを策定し、自然環境の保全、低炭素社会や循環型社会の実現を目指し、取り組んでいます。地球温暖化対策になるような「KOBE COOL CHOICE」を表明し、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロも宣言。サーキュラーエコノミーや、小水力発電など自然エネルギーの活用を推進しています。また、農業生産に欠かせない資源であるリンを下水から回収し、JAと連携して肥料として使うプロジェクトを行っています。神戸ブランドの野菜、学校給食米など地産地消の資源循環の取り組みを拡大したいというのが、このテーマの課題です。

「神戸フルーツ・フラワーパーク」があることに着目した参加者たちの提案は、エディブルフラワー(食べられる花)の栽培にリンを活用することです。キャッチコピーは「食べて体もきれいになるサーキュラーフラワー」。生産、食、排泄、回収、生産のサイクルをつくり、関わる人の意識を変えていくサービス提案です。

同市企画調整局エネルギー政策課平田係長は「具体的なサービスはイメージしやすい。実際の事業化の参考になった」とコメント。同市建設局下水道部計画課の森本新技術担当係長(当時)も「ただ花を育てるだけなく、食・排泄・下水と循環するコンセプトがよい。すぐにでも連携先を探したい」と、実現化の可能性を示しました。参加したchaintopeの村上照明 COOもまた「採算性など実現に向けた実践的な議論をしたい」と、事業展開への意欲を語りました。

最後にGGP事務局を務める三井住友フィナンシャルグループ企画部サステナビリティ推進室の木村智行室長代理は、「神戸市のリアリティのある課題提示が、参加者のノウハウやアセットを引き出し、具体的なアイデアにつながった」とWSを振り返りました。

GGPでは、環境・社会課題解決のアクションの起点となる多様な人々の共創の場を継続的に企画していきます。環境・社会課題解決ワークショップの共催のご要望がある自治体の方、ならびにGGPへのパートナー参画にご関心のある企業の方は、三井住友銀行の担当営業 または GGP事務局(ggpartners_info@ea.smbc.co.jp)までご連絡ください。

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