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システム思考で取り組む複雑な環境課題・社会課題の解決ー方法論と実践ー

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複雑に絡み合う問題を捉えるためのシステム思考の方法
現在の環境・社会課題はいずれも複雑に絡み合い、単独の組織で解決することが難しくなっています。これまで組織単位で問題解決のための様々なソリューションを社会に提供してきた企業や自治体なども、従来のやり方が通用しなくなってきています。
こうした状況で、いかに組織の枠を超えたコレクティブ・インパクトを生み出せばよいでしょうか。

その方法として注目されるのが、システム思考です。

提唱者のひとりピーター・センゲは、システム思考を“私たちの従来のものの見方を補完、刷新する「新しいものの見方」を提供してくれるものと表現しています。
私たちは従来、因果やパターンを互いに線形的に捉えてきました。例えば、Aという課題に対して、Bという解決策を実行すればCという成果を導く、というような考え方です。

それに対してシステム思考では、複雑性や脆弱性を増した社会のシステムをダイナミックなものとして、複雑な要素がたがいに影響し合うものとして捉えます。従来であれば、個々の企業が社会と向き合った際にどのような役割を担うか、どんなアクションを行うのかをそれぞれの組織の思想や事業を持ち寄っているのに対し、システム思考ではループ図や変化の理論(セオリー・オブ・チェンジ、ToC)といった出来事を構成する要素間の関係を動的なものとして記述するためのツールを用いて、大局の流れ、システム全体のつながり、問題の根本要因を観ます。それにより、本質的かつ持続的な成果を創り出すためのプランニングとアクション、評価を可能にするのです。

今回のイベントでは、さまざまな著作や訳書を通じて、システム思考について紹介してきたチェンジ・エージェントの小田理一郎氏より、システム思考の方法論と環境・社会問題の解決への活用についてお話しいただきます。

地球規模の影響をもたしている窒素問題へのアプローチを事例に
また、もうひとりのゲストとして総合地球環境学研究所の林健太郎教授をお招きします。

林教授は、環境や私たちの暮らしに幅広く大きな影響を与えていながらも、認識が浸透していない窒素問題の研究を行っています。窒素問題とは、肥料や原料などとしての窒素利用の便益が、図らずも環境への窒素化合物の排出を通じて多様な窒素汚染の脅威をもたらすというトレードオフのことです。
窒素(元素記号:N)は、生物にとってタンパク質やDNAに必要な元素です。しかし、大気を満たす分子窒素(N2)は不活性でそのままでは利用できません。N2ではない窒素(反応性窒素と総称)が必要なのです。
かつての人類は反応性窒素を自由に手に入れる手段を持っていませんでした。その状況が一変したのが20世紀初頭。N2からアンモニアを人工的に合成する技術が確立し、化学肥料の生産が可能となりました。緑の革命以降の食料増産を成し遂げ、世界人口の増加を支えてきました。反応性窒素を獲得したことで、現代の人間社会は豊かになったのです。

しかし、私たちの窒素利用は健康や生態系に負の影響も与えるようになりました。私たちが利用する窒素の大部分が反応性を有したまま環境に排出されます。また、化石燃料の燃焼によって窒素酸化物が発生します。これらの反応性窒素が地球温暖化、大気汚染、水質汚染、富栄養化などの多様な窒素汚染を引き起こしています。

2022年に80億人を超えた世界人口を支える食とエネルギーに関わり、正負ともに広く大きな影響を与えていながら、窒素問題は一般には知られていません。食・モノ・エネルギーの生産と消費に深く関与する窒素問題の解決には、様々なステークホルダーとの協働が必要であり、窒素問題への認識を浸透させることが大切です。

システム思考に興味のある方はもちろん、窒素問題に取り組みたい方も
リアル会場での参加の方には、小田氏や林教授を交えての交流の場も用意しています。システム思考に興味のある方はもちろん、食料生産や流通・消費に関わる業界、エネルギーや輸送に関わる業界の方で窒素問題について知りたい・取り組みたい方にも有益な機会です。

日時:2024年2月14日(水) 14:00-17:00
   
トークセッション1400-15:55、ネットワーキング16:00-17:00

場所:【リアル会場】ロフトワーク渋谷 10階
   〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂 1-22-7 道玄坂ピア 10F
   MAP:https://bit.ly/3AD6EDJ
   【オンライン配信】Zoomウェビナー

主催:株式会社三井住友フィナンシャルグループ、株式会社三井住友銀行、株式会社ロフトワーク
定員:リアル会場:25名、オンライン会場:100名(応募多数の場合は抽選)
参加費:無料

<こんな方におススメ>
複雑な環境課題・社会課題の解決のためのビジョンやロードマップをつくりたいと考えている企業や研究機関、自治体など
・食料生産や流通・消費に関わる業界、エネルギーや輸送に関わる業界の方を中心に、窒素問題について知りたい、取り組みたい方

以下記載の注意事項をご確認の上、お申込ください。

・オンラインでのご参加の場合、Zoomでのウェビナー参加が必要となります。
 ご参加の際は事前に参加または視聴可能かご確認をお願いします。

・お申込多数の場合、抽選となる可能性がございます。ご了承ください。
・参加、視聴URLはイベント前日までにご連絡いたします。
・参加者の皆さまの写真や議論の内容は後日、loftwork.comおよびGREEN×GLOBE PartnersのWebサイトに掲載する場合がございます。
・プログラムは、予告なく変更される場合がございます。
・本イベントの取材をご希望の方はGGP事務局(ggpartners_info@ea.smbc.co.jp)までお問い合わせください。

14:00-14:15 イントロダクション
14:15-15:15

ゲストプレゼンテーション
・システム思考の方法論:「システム思考と環境・社会問題の解決」
 株式会社チェンジ・エージェント 小田 理一郎

・事例紹介「複雑な窒素問題をシステム思考でひもとく」
 総合地球環境学研究所 林 健太郎 × ロフトワーク 棚橋 弘季

15:15-15:45 クロストーク&質疑応答
15:45-15:55 トークセッションクロージング
16:00-17:00 (リアル会場でご参加の方々のみ)
登壇者と参加者のネットワーキング
  • 有限会社チェンジ・エージェント 代表取締役社長兼CEO 小田 理一郎

    外資系企業でマネジメント職および環境NGO運営を経験した後、2005年にチェンジ・エージェント社を設立。サステナビリティ、社会課題解決分野における能力開発とプロセスデザインに関連するサービスを提供し、日本において「システム思考」、「学習する組織」など変化のための方法論の普及・実践の推進に務める。セクターを超えた共通価値創造および個人・組織・組織間レベルでの能力開発に焦点をあてる。国内での変化の担い手育成、海外30カ国の途上国女性サステナビリティ・リーダーなどこれまでに30,000人以上の能力開発に携わる。著書に『学習する組織入門』、『企業のためのやさしくわかる生物多様性』」等、訳書に『システム思考』「社会変革のシナリオ・プランニング」等多数。

  • 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所 教授 林 健太郎

    1968年石川県生まれ。北海道大学で衛生工学を学び、東京にて建設コンサルタント業界に10年ほど従事しつつ東京農工大学で土壌学を学び博士(農学)を取得。産業技術総合研究所特別研究員を経て2003年に農業環境技術研究所(現・農研機構農業環境研究部門)主任研究員。農地を中心に窒素循環研究に着手し、草地、森林、極地へと広げる。2015年に有志ネットワーク「日本窒素専門家グループ」を設立。北極スバールバル諸島に研究展開し、第58次南極地域観測隊の夏隊隊員として南極に赴く。2022年4月より総合地球環境学研究所教授として「人・社会・自然をつないでめぐる窒素の持続可能な利用に向けて」(Sustai-N-able)プロジェクトを推進。2022年11月に国際窒素イニシアティブ東アジア地域センター代表に就任。2021年に第66回日本土壌肥料学会賞受賞。主な著書は「図説窒素と環境の科学」(朝倉書店)、「薫風のトゥーレ」(幻冬舎)。

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