2021.11.12 fri

第6次エネルギー基本計画を読む

日本総合研究所 亀崎惇之介

1022日、第6次エネルギー基本計画が閣議決定されました。エネルギー基本計画は中長期的な日本のエネルギー政策を示すものです。2002年に制定されたエネルギー政策基本法に基づいて、これまで概ね3年に一度の頻度で見直しが行われてきました。今回は第6次となるエネルギー基本計画について見ていきたいと思います。

まず、エネルギー基本計画の根本には「S+3E」という考え方があります。「S+3E」とは、原発をはじめとしたエネルギー関連設備の安全性(Safety)の確保を大前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、経済効率性の向上(Economic Efficiency)による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に環境への適合(Environment)を図っていく、という考え方です。つまり、優先順位を「安全性>安定供給>経済効率性=環境適合」として、経済効率性と環境適合のバランスを取りながら政策運営を行っていくということです。こうした「S+3E」という考え方は、前回の第5次計画から不変で、わが国エネルギー政策の根幹とされています。

6次計画で大きく変わった点は気候変動対策を強化した点です。脱炭素化に向けた世界的潮流の中で日本政府は従来の温室効果ガス排出削減目標を引き上げており、2050年にカーボンニュートラルの実現、及び2030年度の温室効果ガス排出を2013年度比少なくとも46%削減すると標榜しています。「S+3E」に併せて、第6次計画はこれら目標の実現に向けた道筋を示すことも重要なテーマとなりました。

では、2030年と2050年の2つの目標に向けたポイントを具体的に見ていきましょう。

2030年に向けたポイント——産業別の省エネ目標に注目

①需要面
まず、需要面について見れば、省エネの更なる徹底が脱炭素化には必要だという基本認識を置いています。2030年度の国内エネルギー需要は省エネ実施前で342百万kl(原油換算)と予測した上で、第6次計画は省エネにより62百万klを削減するとしています(図1)。

具体的には、産業分野で低炭素工業炉の導入(削減効果△4百万kl)や産業用モータ・インバータの導入(同△3百万kl)、業務・家庭部門で住宅・建築物の省エネ(同△9百万kl)やトップランナー制度(1)等による機器の省エネ性能向上(同△5百万kl)、運輸部門で燃費性能向上・次世代自動車の普及(同△10百万kl)やトラック輸送の効率化(同△4百万kl)、等の取り組みが実施・予定されています。

このような省エネ施策の積み上げを通じて、2030年度の国内エネルギー需要は280百万kl2013年度比23%減少すると見通しています。

(図1)国内エネルギー需要見通し

(出典)資源エネルギー庁、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」(2021年10月)、P68を基に筆者作成。

②供給面
供給サイドについてみれば、第6次計画では2030年度の電源構成が見直されています(図2)。再生可能エネルギーの主力電源化を推し進め、前回計画では2224%だった構成比を3638%に引き上げるとしています。また、CO2を排出しない電源として原子力も必要な規模を持続的に活用していくとし、2022%とする計画になっています。一方で、火力発電は前回計画の56%から41%へ引き下げるとともに、一部で水素・アンモニア発電を導入するとしています。

(図2)電源構成

(出典)資源エネルギー庁、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」(2021年10月)、P70を基に筆者作成。

2050年に向けたポイント——脱炭素電源活用と新技術活用へ

①電力部門
2050年のカーボンニュートラル実現に向けた電力部門における重要なポイントは、再生可能エネルギーや原子力発電など既に実用化されている脱炭素電源の活用と、水素・アンモニア発電や炭素貯蔵・再利用など次世代技術の開発による火力発電の脱炭素化とされています。

②非電力部門
非電力部門では脱炭素化された電力に基づいた電化を進める他、電化が困難な部門でも水素や合成燃料など新技術の活用を通じて脱炭素化を図っていく必要があり、水素還元製鉄などの更なる技術革新が不可欠であるとしています。



1:一部製品についてエネルギー効率の努力義務を設定することで省エネ化を図る制度。エネルギーの使用の合理化等に関する法律(通称、省エネ法)により規定されている。

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