2021.12.29 wed

GGP-based Project「播州織の未来を考える」始動 —北播磨とテキスタイルの関係をアップデートするワークショップ開催

江戸時代から続く「播州織」をこのまま廃れさせてもよいのか――。地域の伝統産業を持続可能にするためにどうすればよいか――。そのような社会課題に対して2021年10月、GGP-based Project第二弾がスタートしました。

GGP-based Projectとは、SMBCグループが参加者となり環境・社会課題解決に資する概念実証(PoC)や実証実験から最終的な社会実装を目指すもので、今回コラボレーションする方々は、兵庫県西脇市を拠点とする播州織の製造、販売を行う企業などのグループ。播州織はバブル期に約3億8,800万㎡(*1)と生産量のピークを迎えましたが、現在はその1割にも満たなくなっています。その状況を受け、持続可能な産業とするにはどうすればよいか、商品開発やブランディングなどさまざまな視点で、播州織のこれからを共創していくプロジェクトです。

写真提供:tamaki niime

  • 1.GGPをプラットフォームとしたチームづくりへ
  • 2.企業の垣根を超えて「播州織の未来」を考える
  • 3.伝統産業再興の先駆けとなるプロジェクトを目指して

播州織は、江戸時代中期に比延庄村(現兵庫県西脇市)の宮大工が京都西陣織の織物技術を持ち帰ったのが起源とされ、西脇市を中心に北播磨地域で継承されてきた歴史ある産業です。

カゲヤマの代表取締役副社長 陰山和明氏

綿製品を主とし、糸を先に染めてから織る「先染織物」の手法を用いることで、豊かな色彩や風合いを生むのが特徴です。戦後からバブル期にかけては米国を中心に世界的な需要が高まり、全生産量の60%が輸出されていました。ところが中国や東南アジアなど新興国の織物が世界的に広まったことで、現在は2016年時点で約15%(*2)までに落ち込んでいるのが実状です。

30年に渡る播州織の生産規模縮小を受けて西脇市の生地商社カゲヤマの代表取締役副社長・陰山和明氏は「このまま放っておいたら播州織の産地がなくなるんちゃうか」という将来に対する危惧を抱いてきました。


そうした中、西脇市では、播州織産業の活性化によって「ファッションを志す若者が集う街」を目指すまちづくり戦略西脇ファッション都市構想を打ち出し、官民協力のもと10年ほど前から取り組んでいます。

また、播州織に携わる数社の有志が集い年に1度5月に生地のマルシェを開催する「播州織産地博覧会(播博)(2018年〜)では、SNSを使った情報発信が効を奏して、陰山氏によると約5000人の集客でまちが賑わいました。また、西脇市には東経135度・北緯35度の交差点があるため「日本のへそ」としてブランディングする「ヘソノオプロジェクト」も注目を集めるなど、新たな動きも少しずつ増えています。

しかし、「デザイナー育成やブランディングは長期的な話。播州織産業全体のことを考えると、生地の生産量の確保を考えなくてはならない。産業としての課題はやはり多く、新しい何かを見つけていかなければと強く思いながらも、どのように動いていけばよいのかわからずにいた」と蔭山氏は現況を説明します。

SMBC北播磨法人営業部 古宮大輔部長

このような状況を受けて、SMBC北播磨法人営業部の古宮大輔部長は「GGPのプラットフォームを活用して、新しい播州織のチームアップをしよう」と各社に声をかけました。「もはや1社だけの取り組みでは、播州織産業を支えることはできないと危機感も持っていた」と陰山氏の賛同を得て、カゲヤマを含む数社がGGPのパートナーに参加し「播州織の未来を考える」GGP-based projectが始動することとなりました

手始めは、播州織に関わる2030代の若い人を中心としたワークショップ(WS)の開催です。播州織は、染色・機織・整理加工・生地の販売と工程・業種ごとに別会社で分業する風習があるため、WSでは製造販売の流れを網羅するように北播磨法人営業部が中心となり参加企業を募りました。10月27日に行われた第1回のオンラインWSの参加者は、各社の若手に加えて市や商工会議所の職員、そしてSMBCからは北播磨法人営業部の古宮部長、西山慶彦次長、青木剛士部員3名とGGP事務局など総勢約20名でした。

経営者ではなくあえて若手社員に参加を呼びかけたのは、「若手従業員の将来に対する熱い思いや斬新なアイデアを経営者に届けたい」という古宮部長の狙いがありました。

(有)玉木新雌 生地の生成
(株)カゲヤマ 生地商社
島田製織(株) 生地商社
(株)播 生地商社
(株)植山テキスタイル 生地の生成
播州織工業協同組合 産業協同組合
西脇市役所 西脇市
西脇商工会議所 商工会議所

WSのテーマは「北播磨とテキスタイルの関係をアップデートする」。冒頭、「現代は、商品の売れる・売れないというこれまで常識やビジネスモデルが通用しなくなっている。かつての常識にとらわれない、サステナブルな北播磨の地域経済圏、産業のリブランディングを考えたい」と古宮部長がWSの目的を説明しました。

WSでは、既存の枠にとらわれず、自由な発想で意見を交わすことができるよう、個々が持っている播州織に対する思い込み(定説)を、問い(逆説)に変換しながらアイデアを生み出していくプロセスで行いました。

アイデア検討のステップ

また、議論に入る前にアイデアを検討する参加者共通のインプットとして、ファッション業界で注目されている「エシカル」「サステナブル」な視点での商品開発やサービスのトレンド・事例をGGP運営パートナーのロフトワークより紹介。その後、3つのチームに分かれてアイディエーションへと進んでいきました。

3つのチームのうち、チーム1では、知名度や完成品の広がりにおいて足りていない部分があること、原材料のコットンは輸入品が多いという二つの現状をもとに、結論としてバリエーションを増やすための外部とのコラボの積極的な実施や地域内での綿花栽培を増やしていくなどのアイデアが出ました。

チーム2では、播州織でつくる商品の選択肢がもっと広いほうがいいという考えのもと、日替わりの制服、濡れないウェットスーツ、観賞用の洋服ブランドといったユニークなアイデアが出ました。オープンファクトリーといった観光につながる提案もありました。

チーム3では、日本の生地産業のプラットフォームとして、企業や地域の垣根をこえた「相乗り」での製品づくりが可能になれば、ものを安くつくれて、地域にもメリットが残される」「西脇で綿をつくって地域のブランド化ができれば、地域雇用も生まれる」といった意見が交わされました。

議論を進めていったMiroのボード。たくさんのユニークなアイデアがでました。

当日の参加者の様子。zoomを使用してオンラインで議論を進めました。

WSに参加したSMBCの行員は「若い人の意見を伺って、こんなに熱い思いがあるんだ! と、産業の将来性を感じた」と今回のWSの意義を語ります。また、「WSで出た綿栽培など今後の課題に対して、金融機関としてどのように具体化できるかを考え、他の産業も交えた協議に展開したい」と、播州織を起点に地域全体の産業振興につなげていきたい意向を示します。

さらに古宮部長は「よい製品が高く売れる成功事例にするために、今後もWSを重ね、産地の皆さんと知恵を出し合っていきたい」とWS継続の先にある未来像を語ります。「本当によいものづくりをする伝統産業を諦めずに、持続可能な産業を具体化していきたい」と。

「播州織の未来を考える」プロジェクトは、今後も多様な人材と共に継続し実践して参ります。次世代の播州織を担うデザイナーや職人、原料生産者、流通関係者などGGPパートナーとして本プロジェクトへのご参加に興味のある方はGGP事務局にお問い合わせください。

伝統産業の衰退と再興は全国的に共通する社会課題のひとつです。GGPの事務局では、播州織の事例は、他の地域の産業の再興に対してもひとつの先鞭をつけることができるのではないかと考えています。地域産業の再興に取り組みたいと考えられている方もGGP事務局までご相談ください。

問合せ先:ggpartners_info@ea.smbc.co.jp

*1、*2:(出典)西脇市

プロジェクト名:「播州織の未来を考えるプロジェクト」
プロジェクト参加者:(有)玉木新雌、(株)カゲヤマ、島田製織(株)、(株)播、(株)植山テキスタイル、
          播州織工業協同組合、西脇市役所、西脇商工会議所
、(株)三井住友銀行
解決する課題:地域伝統産業の再興 

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