インタビュー
社会的価値創出を重点サポート——GGP Edge Program募集開始
Date: 2023.09.12 TUE
#イノベーション
#新規事業
経済的な価値と同時に社会的な価値の創出をいかに増大させられるか——。そうした課題に対してGGPは、パートナーによる社会的価値の創出を支援する新サービスGGP Edge Programをスタートします。応募いただいたパートナー企業・団体の中からモデルとなる数件を選定し、GGP事務局、日本総合研究所(JRI)、外部有識者が重点的にサポートしていきます。
本記事ではこのプログラムの目的や展望について、SMBCグループの企画メンバーが詳しく解説します。
応募期間は2023年9月1日(金)〜10月13日(金)。
詳細はこちら:https://ggpartners.jp/event/000816.html
環境・社会課題の解決に向け“機会”流通を本格化
清水倫
——GGP Edge Programの概要を教えてください。
清水 倫(SMBCサステナブルソリューション部/GGP事務局)
GGPは2020年7月の設立当初より「環境・社会課題解決の『意識』と『機会』を流通させる」をスローガンに活動してきました。
その中でも、今回スタートするGGP Edge Program は、「機会」を流通させることに重点を置くもので、課題解決のための取り組みを具体的に深掘りし、後押ししていくプログラムとなります。
大湊和貴
大湊 和貴(SMBCサステナブルソリューション部/GGP事務局)
GGPパートナーの本業を通じた社会的価値の創出支援のための公募のプログラムとなります。
GGP Edge Programのコンセプト
木村智行
木村 智行(日本総合研究所創発戦略センター)
“Edge”とは、Empowering Directional and Groundbreaking Entrepreneursの頭文字をとったものです。「明確なビジョンを持つ画期的な起業家を力づけよう」という意味を込めました。また、Edge という言葉には「先端」という意味があります。GGPはサステナビリティをリードする企業を後押しするコミュニティですが、まさにその最先端の活動をする企業や団体をサポートしていくプログラムです。
ここで言う起業家とは、社内起業なども含み、世の中に対して新しい挑戦をする人たちを意味しています。
清水 木村さんと私は、GGPの設立からのメンバーです[*1]。
設立当時を振り返ると、サステナビリティに関する課題は複雑で、それまでの経営課題と違って1社だけでは解決できず、複数の業種を横断し、時には同じ業種のライバルとも手を組むことが必要だという認識がありました。
銀行は、多くの企業や自治体、教育機関、政府関係者との関係がありますので、様々な業種・業態の方々が一同に会することができるコミュニティの場をつくることができるのではないかということでGGPを設立しました。
GGPには主に以下の3つの活動領域があります。
①情報発信
サステナビリティに関する旬なキーワード解説や、開催したイベントの概要等について記事化し、WEBを通じて発信しています。
② ネットワーキング
ワークショップやイベントを通じて出会いの場を提供し、アイデア出しをする場づくりをしています。
③ プロジェクトの共創支援
2022年度から本格化しました。JRIやGGPの連携パートナーであるロフトワーク社と共に、パートナー企業からの「もやもや」をぶつけて頂き、課題を明確化し次の一手を一緒に考える支援などをしてきました。
GGP Edge Programは、このプロジェクト共創支援が本格化する中で構想したサービスです。
GGPのパートナーは2022年には500企業・団体でしたが、現在は1600と裾野が広がり、たいへん有り難く感じています。
しかし一方でお問い合わせも増え、全てにお応えしようとすると、広く浅い対応にならざるをえず、社会的価値を創出する事業の後押しが難しいことが、事務局の中でだんだんと明確になってきました。
もう少し数を絞って重点的なサポートを実施し、モデル事業として多くの企業に共通するヒントを情報発信できれば、よりインパクトの大きな動きにつなげられるのではないかと考えるようになりました。そこで出てきたのがGGP Edge Programです。
キラリと光る技術・アイデアや熱い想いのある事業に伴走しながら、重点的に事業のアップデートのお手伝いをしたいと考えています。
木村 GGP設立から3年経ち、サステナビリティの意識はだんだんと浸透してきたものの、まだまだチャレンジが必要な領域だと感じます。そういう領域に大きく踏み出す事業をGGP Edge Programは支援します。
われわれがこのプログラムの中で重視している観点は次の3つです。
①先駆性 ②先見性 ③具体性
とくに重視しているのが先駆性です。今はまだ存在せずとも、サステナビリティのために必要となるマーケットの創出に積極的に挑戦しているかどうか——。このプログラムを通じて確認し、応援していきたいと考えています。
清水 SMBCの中期経営計画2023-2025では、「社会的価値の創出『幸せな成長』への貢献」がキーワードです。世のため、人のため、地球のために行動を起こす事業者を応援しながら、経済的価値も結果的に享受するという、社会的・経済的価値の両輪が大事だと謳っています。GGP Edge Programはその代表的な取り組みの1つです。
ロジックモデル作成で社会的価値を検証
——GGP Edge Programへはどうすれば応募できるのでしょうか?
大湊 募集対象は、GGPのパートナーに限定しています。
ご応募いただく際には、エントリーシートに事業などの「ロジックモデル」をご記入いただく必要があります。
ロジックモデルとは、事業や施策がその目的を達成するに至るまでの「因果関係」を丁寧につなぎ、図式化し、シナリオ化したものです。ポジティブな変化と共に、発生しうるネガティブな変化についても織り込んで思考を深めていくものです。
清水 GGP Edge Programでは、このロジックモデルを一緒に磨き上げることに力点を置いています。現在の本業が、環境・社会課題解決にどのようなインパクトをもたらすかというロジックを一緒にモデル化し、サステナビリティと本業の関係の見える化をします。
そうすることで、今後の事業変革や事業再編のヒントがお客さまにも見えてくるのではないでしょうか。自社の本業をサステナ視点で内省して頂きながら、解決策を発見する場にできたらよいと思っています。
ロジックモデルの概念図(出典:日本総合研究所)
大湊 ロジックモデルの描き方については、9月27日から10月13日の間ロジックモデルに関する研修をウェビナー形式で配信します。講師は日本総合研究所の渡辺珠子さんです。
SMBC法人戦略部のグローバルインフォメーションというプラットフォームにも掲載し、GGPパートナーだけではなく、SMBCのお客さまならば皆様ご覧いただけるようになります。
応募頂いた中からモデル事業として選定されると、GGP事務局・JRI・外部有識者が社会的価値のより大きな創出に向けてサポートメニューを無償で提供させて頂きます。
表彰ではなく、サポートプログラムであるのが特徴です。
具体的なサポートメニューは、
①有識者による無償の相談会を複数回
②GGPのWEBサイトを通じて先進事例として情報発信をさせていただく
この2つになります。
現在よりも今後、より大きな価値を生み出す「原石」のような活動のご支援ができることを期待しています。
業種・業態・業歴を問わず、インキュベーション段階でも構いません。幅広いジャンルからのご応募をお待ちしています。
サステナ、企業、環境——多視点からの選定とサポート
多田理紗子
——どのようにモデル事業の選定を行うのですか?
多田 理紗子(日本総合研究所創発戦略センター)
GGP事務局による一次選考ののち、以下3名の委員で最終選考を行います。
村上 芽(日本総合研究所)
山田 仁一郎(京都大学経営管理大学院教授)
豆野 皓太(東北大学 大学院農学研究科・農学部助教)
当社の村上は、サステナビリティを専門としている研究員です。SDGsにつながる企業経営、サステナビリティを進めるための人材育成などを専門としています。
木村 京都大学の山田氏は、アントレプレナーシップが専門です。研究者としての事例研究だけでなく、中堅中小企業が第二創業をどのように実現していくかなどについて幅広い知見をお持ちです。アントレプレナーシップの観点から評価いただくことを想定しています。
多田 東北大学の豆野氏は、環境経済学が専門で、生物多様性や生態系の保全がどのようにマーケティングやビジネスと関連付けられるかを研究しています。環境×ビジネスの観点から意見をいただくことになります。
この3名には、選考だけではなく、選定後のサポートにも参加していただきます。
サポートメニューの1つは、エントリー時に作成したロジックモデルのアップデートです。JRIも協力しますが、各分野の専門家である選考委員と一緒にアップデートしていくことで、より精度を高めていくことができます。
ロジックモデルを洗練させてくことで、社内外のコミュニケーションが円滑になり、それに加え、社会的インパクト最大化のためにどこを改善していけばよいかなど、事業の効果を高めることにつながります。
木村 もう1つのサポートメニューは、有識者等への相談会です。GGP事務局、日本総合研究所に加えて、有識者の3名にも関わっていただく予定です。
GGP Edge Programは、先ほど言ったように先駆性を重視します。一方で、先駆的であるからこそ悩むことも多いと思います。まだ存在しない新たな市場をつくっていくためにはどうしたらよいのか、すでに事業を興している人などに相談にのってもらえる機会をつくりたいと考えています。
JRIが開発した外部評価「サステナビリティインパクトレビュー」[*2]などの手法の活用も検討しています。
清水 社内外でなんとなく良いことをやっていると認知されていても、具体的に何がどう良いのかが言語化されていないことが多いと思います。それに対してロジックモデルを通じて言語化や見える化ができると、対外的なファンやユーザーを獲得することにつながります。社内的には働くモチベーションにも直結するのではないかと思います。
大湊 お客さまに限らず、SMBC社内で普段お客さまと接する行員にも9月27日から配信が開始しますロジックモデルセミナーの視聴を推奨したいです。お客さまとロジックモデルを使って対話することで相互理解が深まり、SMBCが本業でサステナビリティへ貢献することにつながると思います。
木村 新しい市場の開拓にチャレンジする人に応募して欲しいと思います。そうした実践が定着すれば追随する人も出てきて、結果的に社会的インパクトも大きくなっていくと思います。
今はまだ世に知られていなくても、これはサステナビリティに貢献するはずだと思う方、熱意のある方、積極性のある方々のご応募を楽しみにしています。
募集概要
名称 | GGP Edge Program~社会的価値創出支援プログラム~ | ||||||||||||
募集 コンセプト |
“今後、社会的価値を大きく生み出しうるであろう原石的な事業活動をご支援” |
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エントリー 条件 |
以下3つの条件を満たす企業 |
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スケジュール |
|
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選考基準 | 先駆性・先見性・具体性の観点から、総合的な審査を行います。 ①先駆性:マーケット創出に積極的に挑戦していること ②先見性:今後より一層解決が求められる環境・社会課題への取組であること ③具体性:コンセプトのみならず、実証実験や事業化を行っていること |
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選出企業 |
・社会的価値創出サポート(有識者との相談会を複数回、無償にて実施)。 |
※詳細は変更になる場合がございます。
*1 設立当時は経営企画部の「サステナビリティ推進室」とホールセール統括部の「サステナブルビジネス推進室」が共に事務局を務めスタート。2022年にサステナビリティへの取り組みに関する態勢を強化するためサステナビリティ本部を新設。現在は同本部内の「サステナビリティ企画部」「サステナブルソリューション部」がGGP事務局として運営をしている。
*2 企業活動によるサステナビリティへの貢献を論理的に表現するインパクト指標の設定を行うためのメソッドとして、サステナブルファイナンスに関する日本総合研究所の調査・研究実績に基づいて開発された。ネットポジティブなインパクトを創出するためのコンサルティングサービス。
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