2021.08.13 fri

骨太の方針2021を読む~政策の中心に位置付けられたグリーン成長戦略

日本総合研究所 ESGリサーチセンター研究員 亀崎惇之介

今回は、618日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」、いわゆる骨太方針2021について見ていきましょう。

各省庁の所掌や利害を超えて官邸主導で政策を進めるために設置されたのが首相を議長とする経済財政諮問会議です。骨太の方針は、毎年6月頃に策定され、ときの政権の重要課題や翌年度予算編成の方向性を示す方針を指すもので、いわば政策の基本骨格です。

新型コロナウイルス対応とIT投資拡大を主軸とした前回の方針に対して、今回の骨太方針2021は、成長に向けた原動力として「グリーン社会の実現」を追加している点が特徴です。具体的には、2050年のカーボンニュートラルと2030年度の温室効果ガス排出量46%(13年度比)という目標に向けて、以下の3つを進めるとしています。

①「グリーン成長戦略」による民間投資・イノベーションの喚起
②再生可能エネルギーの主力電源化
③成長に資するカーボンプライシングの活用

グリーン社会の実現という目標自体は、昨年12月に「グリーン成長戦略」として既に打ち出されており、目新しさこそありませんが、経済財政運営の方向性を示す骨太方針に盛り込まれたことは、カーボンニュートラル実現に向けた着実な一歩と言えるでしょう。

脱炭素社会の実現に向けた進展が見られる中、企業が主に留意すべきポイントとして以下の3つが挙げられます。

まず、財やサービスに対する需要の変化についてです。脱炭素化の流れを受けて、一部の業界では既存製品・サービスの需要が長期的に減少するリスクがあります。企業としては、CO2排出量の少ない新製品を開発する必要がある他、技術的に対応が困難な場合にはカーボンプライシング導入に伴うコストを負担しなければならず、長期的にはビジネスモデルの転換を迫られる可能性もあります(例:自動車メーカーやガソリンスタンドなど)

2点目は、自社事業における排出削減についてです。操業に伴うCO2排出が多い場合には、非効率設備の停止や、より高効率な設備への置き換えなどの対応が迫られるでしょう(例:石炭火力発電所、製鉄所、化学プラントなど)

最後は、原材料や部品の調達についてです。自社内の取り組みではなく、原材料等の仕入先におけるCO2排出が問題となる恐れがあり、持続可能なサプライチェーンを築くには、従来の品質・コスト・納期といった観点だけでなく、排出量の少ない仕入先を選ぶ必要が出てくるでしょう。あわせて、仕入先に排出削減を要請していくことも検討しなければならないでしょう(例:再生可能エネルギーで発電された電力の購入など)

以上、グリーン成長戦略が盛り込まれた骨太方針2021と企業が留意すべきポイントについて解説しました。次回はサステナブルファイナンスの対象となる「持続可能性に貢献する経済活動」の分類(タクソノミー)を解説します。

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