2021.12.24 fri

サステナブルファイナンスを促す動き

日本総合研究所 渡辺珠子

サステナブルファイナンスとは、「環境・社会課題解決の促進を金融面から誘導する手法や活動」を指します(*1)。ESG投資だけでなく、近年日本でも広がりを見せつつあるグリーンボンドやサステナビリティ・リンク・ローンのような融資もサステナブルファイナンスの一つです。

20211013日、G20財務大臣・中央銀行総裁会議がアメリカで開催され、その共同声明の一つとしてサステナブルファイナンスに関する内容が盛り込まれました。共同声明では、サステナブルファイナンスは、SDGsやパリ協定が掲げているような、グリーンで持続可能な経済と包摂性のある社会への移行において極めて重要であるとし、そのために必要な行動などをまとめた「G20サステナブルファイナンス・ロードマップ(SFR)」(2021107日公表)を承認すると書かれています。

サステナブルファイナンス・ロードマップ(SFR)はパリ協定やSDGsに向けた行動を加速させるための重点領域として、以下の5領域を掲げています(*2)。またサステナブルファイナンスを拡大させるためのアクションを5領域で計19特定し、取り組み期間と共に提示しています。

【5つの重点領域】
重点領域1:持続可能性の目標達成に向けた市場開拓と投資アプローチ
重点領域2:持続可能性に関するリスク、機会及び影響に関する一貫した、比較可能で意思決定に役立つ情報
重点領域3:気候変動・サステナビリティリスクの評価と管理
重点領域4:国際金融機関の役割、公的資金、政策的インセンティブ
重点領域5:横断的な課題

特に企業がおさえておきたいのが重点領域2です。重点領域2では気候変動を中心にサステナビリティ関連情報開示のためのベースラインの策定について書かれています。これは企業や団体のサステナビリティの取り組み状況を「横並びで把握する」ために、情報開示の項目だけでなくデータのとり方や評価基準を作ろうというもので、国際会計基準(IFRS)の策定を担う民間の非営利組織であるIFRS財団が作成しています。グローバルで統一した基準策定を目指していますが、国および地域の事情を勘案し、相互運用できる柔軟性を許容する表現になるよう調整しています。IFRS財団では、中小企業など企業規模に関係なく取り組むべき基準を検討されています。つまり、一旦ベースラインが確立したら日本の中小企業もこのベースラインに沿ったサステナビリティの情報開示が求められるようになるでしょう。なお先ほど「気候変動を中心に」と書きましたが、将来的には生物多様性や自然、社会問題などの関連トピックスにも対象を広げるべきだと考えられています。CO2排出量や省エネ、節水だけでなく、ビジネスによって昆虫や植物などの生物多様性に与える影響についても、近い将来情報開示が求められるようになるでしょう。

重点領域3の「気候変動・サステナビリティリスクの評価と管理」は、タイトルだけだと重点領域2と内容が重なるように見えますが、金融機関や投資家が気候変動や生物多様性の毀損などによって生じるリスクの評価や管理を推進するための基準や枠組みの検討を指しています。つまり企業だけでなく資金提供者である金融機関や投資家でもリスクを理解し、必要に応じて企業と共にリスクを下げる取り組みを推進することが期待されていると言えるでしょう。

「サステナブルファイナンス・ロードマップ」に記載されたアクションの具体化・詳細化は現在検討が進められているところですが、気候変動を中心としたグリーンリカバリーを支える金融のあり方を提示するものとして、タクソノミーと共に今後注目していく必要がありそうです。

*1:(出所)サステナブルファイナンス|サービス紹介|日本総研 (jri.co.jp)
2:(5つの重点領域の出所)G20 Sustainable Finance Roadmap

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