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ダイバーシティ&インクルージョン(第1回)企業経営におけるD&I

Date: 2021.02.26 FRI

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日本総合研究所 渡辺珠子

ダイバーシティ&インクルージョンとは

近年、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を掲げる日本企業が増えてきました。企業経営においてダイバーシティとは人材の「多様性」、インクルージョンは「受容や包摂」を指します。つまり、D&Iとは、性別・年齢・国籍など、それぞれの従業員の多様な価値観を受け入れ、それぞれの個性を尊重すると共に、個々の能力が十分発揮できる場を積極的に生み出そうということです。

日本企業がダイバーシティという言葉を企業経営に取り入れ始めたのは2003年頃です。以来、多くの日本企業が「ダイバーシティ推進」や「ダイバーシティ経営」に取り組んできました。これらのダイバーシティの取り組みと、D&Iには、実際の取り組み内容に大きな差異があるわけではありません。もともとダイバーシティが注目されるようになった背景には、少子高齢化に伴う労働力人口の減少に対応するため、女性やシニア世代、外国人、障がい者など様々な人材の雇用を検討する企業が増えたことが挙げられます。最近では単なる労働力の確保ではなく、様々な価値観や異なる文化・生活様式をもつ従業員がいることで、組織のリスク対応力や柔軟な発想力といった企業の競争力向上に繋がると考え、ダイバーシティを推進する企業が増えています。インクルージョンという考え方は、この「多様な価値観を持つ多様な人材にとって、事業に積極的に参加できる機会が十分にあること」に明確にコミットする姿勢を表しているのです。

ダイバーシティ&インクルージョン先進企業の取り組み

ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みが進んでいる企業例として真っ先に挙げられるのはP & Gグループでしょう。P & Gグループは1992年以降、女性活躍推進を始め、ダイバーシティに関する様々な取り組みを進めています。
D&Iを企業の活力とするために、P & Gグループでは、

①多様性を尊重する企業文化の醸成
②多様性をビジネスに生かすスキルトレーニング
③従業員それぞれにあった働き方を選択できる制度構築

3つを柱とした取り組みを展開してきました。

②については、長年のダイバーシティの取り組みの経験や独自調査を踏まえて、「概念と方法を理解すればインクルージョンは誰でも習得可能」と考え、管理職向けの研修プログラムを独自に開発しています。取り組み目標やビジョンを掲げる日本企業は多い中、従業員にスキルとして根付かせるための具体的な取り組みを行っている点が、P & Gグループの大きな特徴だと言えます。なお、2016年からはこの研修プログラムを社外に無償提供する取り組みを開始し、400社以上にノウハウを提供しています。

P & Gグループのダイバーシティ&インクルージョン推進の変遷

ダイバーシティ&インクルージョンがより注目される時代に

2020年は企業にとってダイバーシティ&インクルージョンのあり方が問われる大きな出来事がふたつありました。ひとつは新型コロナウイルス感染拡大。在宅勤務を含めて柔軟な働き方を整備する企業が一気に増えました。それに伴ってジョブ型組織にも注目が集まりました。もうひとつはBlack Lives Matterです。Black Lives MatterD&Iの関係については、次回の記事で取り上げます。

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