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少子化に向き合う社会デザイン会議2025プロジェクト・レビュー 01

Date: 2026.04.30 THU

  • #初学者

  • #ソーシャル

  • #新規事業

GGP2025年度、さまざまなパートナーとともに社会課題の解決に向けたアクションを起こす「GGP共創プロジェクト[*1]を立ち上げました。
その1つが「少子化に向き合う社会デザイン会議」です。GGP事務局が主催し、伴走支援のロフトワークと共に2025年、少子化の問題に独自のアプローチで挑むプロジェクトをスタートさせました。
1社だけでは解決できない少子化という大きな課題解決に賛同する企業や団体がだんだんと増え、20263月時点で全17の企業や団体が参加するプロジェクトへと成長しました。

1年間のプロジェクトの前半は、少子化の実情やその要因を調査・分析し、課題解決のために変化を促す効果的な介入点を抽出しました。後半では、調査で得たインサイトを検証する実証実験を行いました。そして、このプロジェクトとして向かっていきたいと考える未来像を4つの風景として描き出しました。

これらの活動をステージごとに3編のレポートにまとめ、近日公開予定です。
  • リサーチ編

  • 実証実験編

  • ビジョン編

2050年には1人の現役世代が2人の高齢者を支える天秤棒型が予測されている日本。
少子高齢化は、経済や地域社会の持続可能性が危ぶまれる深刻な社会課題です。
だからこそ、国や自治体の施策に期待するだけでなく、「多くの人や企業が自分ごととして“少子高齢化”を考えるきっかけを、GGPのプロジェクトとして発信したい」。そのような考えからスタートしたのが「少子化に向き合う社会デザイン会議」でした。

しかし、出産や育児は、社会を維持することを目的に行うものではありません。
もし子どもと過ごす未来に希望が持てない、あるいはそれを望みながらも実現できない人がいるのだとしたら、その要因を取り除き、社会の歪みを正していきたい——。このプロジェクトでは、そのような目標を掲げ、2025年度の活動を続けてきました。

これまでも経済団体や学者による少子高齢化に対するリサーチや提言は数多くありますが、それをなぞるだけではなく、本プロジェクトでは独自の切り口からアプローチすることを試みました。
そこで着目したのがこれから親世代の中心となるZ世代でした。Z世代の価値観は、少子化解決のための新しい糸口になる可能性を秘めているのではないか——。その声を聞くことで、あらゆる世代が生きやすい社会を再定義できないか——。プロジェクトを進める方向性をそのように定め、始動しました。

それでは、一体どのような行動を起こせばよいのでしょうか。その答えを見出すために採り入れたのが「システム思考」[*2]という手法でした。これは、複雑な要因が絡み合う社会の構造を分析し、大きな社会的インパクトを生み出すための変化の支点となる介入点を探る方法です。
メンバーでのワークショップを繰り返し、少子化の要因となるZ世代の価値観、背景となっている社会制度、経済の仕組み、教育や文化などさまざまな要因の関連性をループ図として描き出しました。
その結果見えてきたのが、6つの構造的要因でした。

リサーチとワークショップから抽出した少子化の構造的要因。6つの事象が関係し合っていることを示すループ図 出所:プロジェクト・レポート「リサーチ編」

こうした社会構造の分析と並行して行ったのが、子育て支援などを実践する事例のフィールドワークや有識者インタビューです。
そこから見えてきたものは、制度設計や経済支援では届かない場所に少子化の本質的な要因が潜んでいたことでした。そして、これを4つのインサイトとして私たちは整理しました。

  1. 子どもを変えるのではなく、今の社会をつくっている大人の価値観を変える必要がある
  2. 制度ではなく「顔の見える関係性」が孤立を解く
  3. 「主体性」が持続する行動変容の条件になる
  4. 多様な選択肢が見える社会が、将来への不安を減らす

そして、さらにワークショップや対話を続ける中で探り当てたのが、以下に示す9つの効果的な介入点と、打ち手でした。

介入点 システムへの直接的打ち手
1. 子育てコストを下げる 子育てコストを社会全体で分担する
2. 結婚による経済的不安を解消する 若年層の経済基盤を強化し、意識のインフレを抑える
3. 親の資本力による教育格差をなくす 社会全体で子どもを育てる仕組みの構築
4. 子育てのポジティブな面を若者に届ける ポジティブ・ネガティブの両面を知る機会の創出
5. 地方においてキャリアと家庭を両立できる環境を整える 地方でのキャリア形成と家庭の両立を可能にする
6. 「将来世代への投資」を社会の共通価値とする 分断を解消し協力し合える環境をつくる
7. 子育てを社会全体に開く 「助けてもらえる」が当たり前の環境をつくる
8. 「家族=結婚」という枠組み・意識を変える 多様な家族形態に法的保障を与える
9. 親も子も、多様な成長を認め合う文化をつくる 「多様な成長のかたち」を認める教育への転換

「少子化に向き合う社会デザイン会議」のワークショップで辿り着いた、6つの少子化要因と9つの効果的な介入点を示すループ図 出所:プロジェクト・レポート「リサーチ編」

では、これらの介入点を社会的な実践に繋げるためには、具体的に何をなすとよいのでしょうか。

私たちがまず挑戦したのは、「4.子育てのポジティブな面を若者に届ける」に焦点を当てた実証実験です。働く場で、若者と子どもが自然に触れ合う機会を仮設的につくりました。設置場所は2カ所です。Open day with Baby、Co-sodate, working Dayと名付け、それぞれ複数回にわたって開催しました。
この実証実験の詳細は、続編のプロジェクト・レビュー02、03でお伝えします。

そしてもう1つの試みは、9つの介入点をさらに整理し、4つの未来社会の風景を描くことでした。これは、可視化した風景が与えるインスピレーションを、個人や企業の行動変容に繋げたいと考えたからです。こちらは、プロジェクトレポート「ビジョン編」に収録しています。

プロジェクト・レビュー02、03につづく
(文:GGP共創プロジェクト 少子化に向き合う社会デザイン会議)

*1 2025年度、GGPは「少子化」と「食と農」をテーマに、社会課題をパートナーと共に解決する実践をGGP共創プロジェクトとして試験的に取り組んだ。2026年度からテーマオーナーを募集し、本格始動している。関連記事:GGP共創プロジェクト、始動!
*2 システム思考とは、複雑な現代社会をシステムとして捉える思考法。課題の背景にあるさまざまな因果関係をループ図などを用いて可視化し、解決のための効果的な介入点を見いだす。

GGP共創プロジェクト「少子化に向き合う社会デザイン会議」のタイムライン
2025年
5月 ・少子化に関するリサーチスタート(以降、週次ミーティング) 
6月
・テーマ「Z世代の視点で問い直す、誰もが希望を持てる子育て社会と企業の役割」を設定
7月 ・参加企業と共に問題構造の共有と介入点特定のためのワークショップ(以降、月1回のワークショップ)
・「Z世代の子育て選択を可能にする“突破口”を議論するワークショップ
・仮説を確かめるフィールドワーク先、ヒアリングする有識者を決定
8月
・課題の整理と解決を話し合うワークショップ
・フィールドワーク、有識者インタビューを実施
9月
・介入点の提示と解決アイデアを話し合うワークショップ (6つの少子化の構造要因、9つの効果的介入点を規定し、関係性をループ図として可視化)
・実証実験のアイデア出し(地域ぐるみの子育て、教育と学びのアップデートなど、経済的支援制度の再設定、多様な働き方、地域経済を循環させる などのキーワードが出る)
10月
・実証実験を実施するための制約条件を確認
・実証実験で達成したいこと、検証したいこと、募集したいアイデアの方向性などの検討(若者と子どもを交えた多世代交流が実験の核となることを決定)
11月
・「若者×子ども」の居場所づくり実証実験に向けたアイデア検討(3つのチャレンジを想定)
①働く場で子どもとの交流の場を生む
②大人が楽しむ生活の時間の中で子どもが自然に過ごす場づくり
③若者と子どもが偶発的に混じり合うきっかけを生む
・参加企業と具体案の検討 SHIBUYA QWSと日立製作所の2カ所で開催を決定
12月 2つの実証実験Open day with Baby@SHIBUYA QWSCo-sodate, working Day@日立製作所 分科会 開催準備スタート、空間設計や実施コンテンツの検討
・「少子化に向き合う社会デザイン会議」リサーチ編レポート作成
2026年 1月
2つの実証実験Open day with Baby@SHIBUYA QWSCo-sodate, working Day@日立製作所 分科会 開催準備
2月 2つの実証実験Open day with Baby@SHIBUYA QWSCo-sodate, working Day@日立製作所 開催
・4つの未来の風景を描くためのワークショップ
3月 2つの実証実験Open day with Baby@SHIBUYA QWSCo-sodate, working Day@日立製作所 開催
・「少子化に向き合う社会デザイン会議」実証実験編レポート作成
・「少子化に向き合う社会デザイン会議」ビジョン編レポート作成

少子化に向き合う社会デザイン会議
主催:GREEN×GLOBE Partners(運営:株式会社三井住友フィナンシャルグループ)
伴走支援:株式会社ロフトワーク

参加企業一覧(50音順)
・株式会社赤ちゃん本舗(新規事業推進)
・生駒市(子育て健康部こども政策課)
・株式会社OpenHeart
・KODOMOLOGY株式会社
・comodo.
・サイボウズ株式会社(ソーシャルデザインラボ)
・株式会社ズカンドットコム
・株式会社Smart Nurse
・株式会社ピコトン
・株式会社日立製作所(社会協創イノベーション事業統括本部)
・NPO法人放課後NPOアフタースクール
・医療法人社団オレンジ「ほっちのロッヂ」
・株式会社ボーネルンド
・株式会社ママスキー
・認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
・合同会社ラク育
・株式会社Louvy(そだてるはたらくプロジェクト)

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