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環境・社会課題への向き合い方が変える経営戦略~たねやCEOに聞く、ビジョン・事業・未来の描き方 Session2

Date: 2021.01.29 FRI

  • #新規事業

Session2
「環境・社会課題解決の『意識』と『機会』を流通させる」
 SMFG 竹田達哉 × ロフトワーク 棚橋弘季

先達が重んじたサステナビリティを継承するGGPとは何か?

棚橋  SMBCグループは、20207月からGREEN×GLOBE PartnersGGP:グリーン・グローブ・パートナーズ)という活動を始めました。まず、活動の内容と、それを始めた理由をお聞かせください。

竹田  GGPは、単独の組織では対処しきれない環境・社会課題を解決するために、仲間をみつけて集うコミュニティをつくり、その活動を支えるためのプラットフォームです。「環境・社会課題解決の『意識』と『機会』を流通させる」と謳っています。

活動をはじめたきっかけは、20204月にSMBCグループが出したサステナビリティ宣言です。この宣言を具体的なかたちにしていくために、GGPを立ち上げました。

この宣言は、「我々、SMBCグループは、三井 、住友にルーツを持つ企業グループとして、先達が重んじたサステナビリティへの意志を受け継ぎ……」という冒頭文で始まります。三井と住友の歴史をそれぞれ調べると、両者とも300400年の歴史を通じて、社会やコミュニティのことを考えてきた会社だということが改めてわかったからです。

たとえば住友は、江戸時代末期から明治にかけ銅の精錬技術に革新をもたらします。その技術を自分たちだけで独占するのではなく、広く同業者に公開し、銅事業や国の発展に貢献してきました。三井は日本橋越後屋が発祥ですが、反物の売り方が革新的なもので、江戸のお客様が着物を買いやすくするというイノベーションを起こしました。

たねやの山本社長の著書『近江商人の哲学「たねや」に学ぶ商いの基本』(講談社)を読んでいると、「先義後利」という言葉が出てきますが、社史の中で私たちの先達もまた、それと似た言葉を残しています。例えば、「自利利他公私一如(じりりたこうしいちにょ)」という、住友の初代総理事・広瀬宰平の言葉です。自分を利するだけではなく、他人の利益も一緒に考えなさい、公と私は一体のものですという意味です。

二代目総理事・伊庭貞剛も「自身を利すると共に国家を利し、且つ社会を利する底の事業」をしなければならないと言っています。三代目総理事・鈴木馬左也も「徳を先にし、利を後にする。徳によって利を得る」という自説を残しています。これはまさに、「先義後利」です。実は、住友総理事の初代と二代目は近江出身なので、近江商人の考え方を知ったうえで、今ご紹介したようなことを言っていたのではないかと思います。

先人の教えや事業への取組みを踏まえ、今何ができるのだろうかと考えていくと、現在のSMBCグループが取り組むべき重点課題が見えてきました。「環境問題」、「次世代」「コミュニティ」です。このキーワードは、社会的課題とビジネスをつなぐ、結び目となると考えています。それで、環境・社会課題をみんなんで一緒になって解決していく場となるGGPの活動を始めることになりました。

「ビジネスになるのか?」とよく質問をされますが、おそらくそれほどすぐにはなりません。でも、GGPのようなプラットフォームを活用していただくことで、一緒に新しいことにチャレンジしていけるのではないかと期待をしています。先人が築いてくれたお客様や信用を基盤として、金融グループだからできる社会貢献がGGPです。

持続可能なビジネスの種を育てる持続的コミュニティ

棚橋  ロフトワーク(LW)もGGPの連携パートナーとして、新しい試みをしていきたいと思っています。最初に一緒にやったことは、GGPの目的が何かを言語化することでした。

竹田  先ほどご紹介した「『意識』と『機会』を流通させる」という言葉ですね。

GGP
が考える環境・社会課題の解決には、何段階かのステップがあると思っています。
最初のステップは、情報を発信していくことで、WEBサイトを通じて発信を行っています。これはあくまでもアウトプットで、それによって何が起こるかというアウトカム(成果)として、事業者や生活者のサステナビリティについての意識や理解度が向上し、真剣に取り組む人が増えるきっかけになるとよいと思います。

その次にやるべきことは、人のネットワークづくりです。事業者同士の幅広いネットワークと共創を支援していきたい。そのためのセミナーやワークショップを今後も開催していく予定です。これにより何が生まれるかというと、ビジネスの種が生まれる機会が増えていくと思っています。

最終的にはこの種が芽吹いて、具体的なアクションとなることが大事です。そのためのサステナブルな仕掛けをGGPが提供し続けていくことで、仲間が増え、サステナブルなビジネスを育てるエコシステムができてくると思っています。

GGP
自体を持続的な仕組みとしていくために、やはりビジネスとして成立させていく必要があります。したがって、ただ知識を得るお勉強の場ではなく、環境・社会課題に対するソリューションを実装していく場となっていきたいと思います。

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