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環境・社会課題への向き合い方が変える経営戦略~たねやCEOに聞く、ビジョン・事業・未来の描き方 Panel discussion

Date: 2021.01.29 FRI

  • #初学者

  • #新規事業

Panel discussion
「目指す未来像に向けて、新たな事業を生み出すために」
 たねや 山本昌仁 × SMFG 竹田達哉 × ロフトワーク 棚橋弘季

ビジョンを掲げ、実践し続ける

棚橋  Session1、2をふまえ、新しい事業を展開していくためにはどうすればよいか、議論を深めたいと思います。まず、持続的に事業を行うために、変えるもの、変えずに守るものの見極めが重要とのことですが、それを意識し、実行するようになったきっかけは何ですか。

山本  8年前に社長に就任したのが転機でした。組織のリーダーが判断に時間をかけると、社員が路頭に迷うので、ジャッジのスピードを上げる必要がありました。そのときに、どんどんと変えるべきもの、変えてはならないものを分別することがすごく大事だと意識しました。私の場合、「末廣正統苑」と「自然に学ぶ」が、変えてはならない軸になっています。

棚橋  ポストコロナなど今後を見据えて事業を展開するときに、重視していることを教えてください。

山本  未来を描き、常にビジョンを掲げて夢を語ることがリーダーには求められていると思います。でも、夢を語るだけで前に進んでいないと夢で終わってしまう。口に出したら、そのバックキャストとして今何をすべきかを常に考え、物事を進めなければなりません。そのために現実を見据えて、過去に出会った色々な方の教えを踏まえたうえで、私だったこうするというビジョンを持つことが必要だと思います。

棚橋  GGPも、SMBCグループの新たな取り組みです。大きな組織の中で新たなチャレンジを可能にするためには、どのようなことが必要でしょうか。

竹田  変化を加速させるためには、外部の知見をいれていくのが重要だと私は考えています。たとえば、LWと出会ったことで、ビジネスの中に「デザイン思考」というものを取り込む視座を得ることができました。新しいチャレンジのためには、外部の知見や仲間に助けてもらいながら、少しずつでも確実に動かしていくことが大事ですね。

棚橋  たねやもデザインを重視されています。社内で「デザイン」をどのように位置づけているのでしょうか。

山本  「みかんの皮」を例に説明します。みかんの皮は、色が青いとまだ酸っぱく、食べごろになるときれいなオレンジ色になり、中身が悪くなると青カビが出ます。見た目で中身の状態を表現し、さらに中身を保護するパッケージ機能もあります。そして食べ終わって捨てても、土に返る。みかんの皮はパーフェクトなデザインなんですね。
お菓子の包装も、売りたいがために何かをするのは、デザインとは言えないと思っています。お菓子がどうみえるかと、そして、世の中の空気感にそれが合っているのか、ただそれだけです。
でも流行っているからと言って「鬼滅の刃でいけば売れる」ではだめです。なぜそれが浸透しているのか、ことの真髄を見抜いて、それを商売に落とし込むことができれば流行りすたりに流されない商品になると、社員には常々言っています。

多様な人が集うプラットフォーム構築で新たなビジネスを実践

棚橋  独自の世界観があるラ コリーナをつくるなど、新しい発想で事業を展開していくことができるのはなぜでしょうか。

山本  周りにアドバイスをしてくださる心強いネットワークがあるからだと思います。
20代半ば頃は先代を超えなければとか、自分の色を出していかなければとか、悩みを抱えていました。でも、青年会議所などの経済団体に入り、いろいろな人と出会い、支えてもらったことで、自分が進むべき道が見えてきました。
ラ コリーナの建設に際しても、広大な敷地をどのようにつかうべきか、3年くらいかけて多くの方々にお話を聞いてまわりました。シンボルとなった蟻の研究者、設計をしていただいた建築家の藤森照信先生など学識をもった先生方、従業員、さまざまな人たちの意見をいただいて、多様な人が集う場づくりができたと思っています。

棚橋  GGPも、これまで「お金」を流通させる銀行業とは異なる発想の活動です。お金以外の『意識』や『機会』を流通させていくために、どのような展望を抱いているのでしょうか。

竹田  今風に表現すると、銀行業はお金のプラットフォーマーだったと言えます。GGPもプラットフォーマーであることに変わりはないですが、扱うものが変化しつつある。
GGPのプラットフォームには、主に中小・中堅企業の強い思いやアイデアを持っている方々が集まり、企業同士が出会う場となることを想定しています。場を提供し、そして企業同士が目指すものを社会に実装するまで支援をしていく。それがGGPがこれから担っていく役割です。
環境・社会課題は一社では解決できないことが多く、コラボレーションをする必要があります。ゆえに、課題解決の大義の下では、これまでにない協力関係を生むことができると期待しています。例えば、同業他社の花王とライオンが20209月から一緒に廃プラ削減の取り組みを行っていますが、これまでにはなかった協力関係が今後も増えてくると思います。多様な共創相手に巡り合えるメリットをGGPは提供し、多くの企業のみなさんに享受していただきたいです。

山本  私たちもプラットフォーム構築をしっかりやっていきたいと考えています。世界中から「こんな商品をつくりたい」など、素晴らしい発想が情報として常に入り、それを実現する知見をもった人たちが集まれる場です。
会社の中だけで考えるより、世界から情報を集められるとよいので、自分たちのノウハウも公開してもよいと、最近は思っています。そうした発想で、NELIS(ネリス)という団体を立ち上げました。世界で持続可能な社会をつくっていくリーダーを育てる組織です。コロナ禍でウェビナーも増え、今後どんどんDX(デジタルトランスフォーメーション)化していくので、そうした技術を利用していければいいと思います。そういう人たちのコミュニティが醸成すれば、どんどんとグリーンな経済や社会にむかっていくのではないでしょうか。

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