イベントレポート
GGP共創プロジェクト2026——新テーマはシェアリングエコノミー、少子化対策は継続へ
Date: 2026.06.19 FRI
#ソーシャル
#ESG投資・開示
#イノベーション
少子化や気候変動など1つの組織だけでは解決できない社会課題の解決に挑む実践型の共創プラットフォームとして、GGPは2025年度、GGP共創プロジェクトを立ち上げました。2026年度は、「シェアリングエコノミー」と「少子化」の2つのテーマで、新たな社会的価値の創出に取り組みます。そのキックオフイベントを2026年5月13日、東京・丸の内のHOOPSLINK (三井住友銀行の事業共創施設)で開催しました。
各テーマについてのプレゼンテーターは以下の通りです。
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テーマ |
登壇者 |
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シェアリングエコノミー |
一般社団法人シェアリングエコノミー協会 ソーシャルインパクト事業創出ユニット長 |
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株式会社ロフトワーク 執行役員 |
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少子化 |
株式会社ロフトワーク プロジェクトマネージャー |
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株式会社赤ちゃん本舗 新規事業推進 エキスパート |
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株式会社日立製作所 社会協創イノベーション事業統括本部 |
シェアリングエコノミーの社会的価値を見える化へ
シェアリングエコノミー協会の谷口由布子氏
「GGP共創プロジェクトを通じて、シェアリングエコノミーの社会的価値を可視化したい」。
そう話すのは、2026年度共創プロジェクトの新規テーマオーナーとして採択されたシェアリングエコノミー協会の谷口由布子氏です。
そもそもシェアリングエコノミーとは、どのようなものなのでしょうか。同協会によると、個人・組織・団体などが保有する有形・無形の資源(モノ、場所、スキル、時間、資金など)を売買したり、貸し出したり、利用者同士で共有(シェア)する経済モデルです。
ライドシェアや民泊、すきま時間を活用した働き方などが、代表的なビジネスモデルです。
同協会は2016年の設立から今年で10周年を迎え、現在は約400社の企業や200以上の自治体が会員となり、政府や省庁とも多様なかたちで連携する団体に成長しました。さまざまなプレイヤーの共創により新しい市場や産業を創出し、シェアという新しい仕組みを支えるための事業者支援や自治体との連携、政策提言を通した制度設計などを行ってきました。
図提供:シェアリングエコノミー協会
シェアリングエコノミーの市場規模は2024年度では約3兆円でしたが、2032年に15兆円へと拡大するという試算があり[*1]、成長中のビジネスモデルと言えます。そのように経済的な価値は数値化できる一方、「シェアリングエコノミーの社会的価値は見えづらいために、企業が活動する上でのハードルとなっています。客観的に価値を示すエビデンスが必要」と谷口氏は力を込めます。
ここで言う、シェアリングエコノミーの社会的価値とは何か——。例えば環境負荷低減効果に関してはCO₂削減量としてすでに数値化されています。しかしいまだに数値化できていないのがシェアリングエコノミーによって生まれる人々のつながりや共助の価値です。これを表す新たな指標、すなわち新たな社会の物差しを作ることが本プロジェクトの目標となります。
図提供:シェアリングエコノミー協会
今年度はまず、すでに上場あるいは上場間近のグロース型企業、上場を見据えているミドルグロース型企業にとって、資金調達の手助けとなる指標設計に取り組みます。
それに加え、シェアリングエコノミーを実践するスタートアップの成長支援につながる指標となることも視野に入れています。大企業とスタートアップが資本提携することの多い日本型シェアリングエコノミーモデルでは、企業の社会的価値の客観的な表明が有効だと考えているからです。
図提供:シェアリングエコノミー協会
新しい社会の物差しづくりにむけて
ロフトワークの棚橋弘季氏
では、この新しい物差しをどのように作るのでしょうか。共創プロジェクトに伴走支援をするロフトワークの棚橋氏が、具体的な指標設計の方針を解説しました。
ここで用いるのはSROI(社会的投資収益率)という指標です。投資1円あたり、何円の価値が生まれたかを計るもので、分母に投資額、分子には経済的便益とウェルビーイングなどの非財務価値が入る算式で導かれます。
「分子の非財務部分をどのように算出するかがプロジェクトの核」と棚橋氏は説明します。
図提供:ロフトワーク
2026年度の目標は、シェアリングエコノミーの社会的価値を計る「共通の物差し」(共通指標フレーム)作りと、その物差しを実際に使うためのツール(算定・可視化ツール)の実装です。
継続的に少子化に向き合う
ロフトワークの奥田蓉子氏
2026年度のもう1つの共創プロジェクトのテーマは、昨年度から継続する「少子化」です。経済や地域社会の維持などに大きな影響を及ぼす深刻な課題として、さまざまな企業や団体と共に今年度も取り組みたいと考えています。
昨年度は「少子化に向き合う社会デザイン会議」と称し、主催のSMFG、伴走支援のロフトワークに加え17の企業や団体が参加しました。当日はプロジェクトの成果について、ロフトワークでプロジェクトマネージャーを務めた奥田氏が概要を発表しました。
この会議が取り組んだ課題について「若者が子どもを持つことに希望が持てない、希望する子どもの数を実現できないことを課題として設定しました。これから親になる世代・働く世代の中心となるZ世代の価値観や考え方にフォーカスしました」と、新規性を説明。
また、課題構造の理解、戦略立案、実証実験、評価・発信の4つのプロセスを解説。その中で、少子化を招く6つの構造的要因を見いだし、9つの効果的な介入点を抽出し、9つの中から「子育てのポジティブな面を若者に届ける」に焦点を当てた実証実験の内容を解説しました。
図提供:ロフトワーク
2025年度は、少子化につながる6つの構造的要因を分析し、9つの効果的な介入点を見い出し、最終的には4つの領域に分けて起こしたい社会の変化をまとめた。 出所:「少子化に向き合う社会デザイン会議」レポート ビジョン編
働く場に子どもがいたら? 実証実験で新たな職場の風景を創出
その実証実験とは、「働く場に子どもがいたら?」をテーマにしたものです。2026年2〜3月にかけ、渋谷にあるオープンイノベーション施設QWSにて「Open day with Baby@SHIBUYA QWS」を、品川区にある日立製作所のオフィスにて「Co-sodate, working Day@日立製作所」を開催しました。
図提供:ロフトワーク
この「世代間分断を乗り越える多世代交流の共創型実証実験」は、若者が働く空間で子どもと自然と交わる居場所づくりがテーマでした。子どもを持つ前の若い世代と子育て中の親子の交流は、有効な少子化対策となるのか——。その可能性を探り、実験後はアンケートなどを通して検証しました。
オープンイノベーションのコワーキング空間で不特定多数が対象のOpen day with Baby、大企業の会議室で社員とその子どもを対象としたCo-sodate, working Dayと参加者のターゲットは異なるものの、共に再現可能なモデルを模索するものでした。
準備段階では、子どもの安全を担保する空間設計、自然と多世代が交流するためのコンテンツや仕掛けづくりなど、参加企業からさまざまな知見が寄せられ、実現に至りました。その結果、アンケートでは両者ともにワーカーから「意外と子どもの声を気にせず仕事ができた」など、ポジティブな意見が得られました。
実証実験のプロジェクトマネージャーを務めた赤ちゃん本舗の澤田氏、日立製作所の大澤氏は、多様な知見を得られる共創の効果を実感したと口をそろえます。
赤ちゃん本舗の澤田千春氏
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将来的な汎用性を考慮して、空間設計やコンテンツをつくることを意識した。本実験では、子どもや子育てに対する若者の解像度を高めることができたと思う。
共創では、働く場で若い世代と子どもが空間を共有するという同じ目標に向かってお互いの暗黙知を引き出し、言語化し、それに共感し合えるかが鍵だった。多様な価値観が交じり合うことで新しいものを生み出せる手応えを実感できた。 今後も、赤ちゃん本舗として、商品の販売だけではなく、子育てを取り巻く社会環境と対話しながら社会的価値を創出していきたい。 (赤ちゃん本舗 澤田千春)
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日立製作所の大澤郁恵氏
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「会社に子どもがいる風景が自然な社会」を目指して実験に挑んだ。 (日立製作所 大澤郁恵) |
GGP事務局として司会を務めた小林絵里子は、「2026年度の少子化に関するテーマは、9つの介入点の中からどこに焦点を当てれば良いか検討中。アイデアや共創パートナーを募集中です」と締めくくりました。
プレゼンテーションの後は、会場で参加した約20名が2つに分かれ、各テーマについて30分間のワークショップを開催。プロジェクトのテーマに興味を持った動機や課題解決へのアイデアなどを出し合う意見交換の場となりました。
ワークショップの風景
(2026年5月13日、HOOPSLINK にて 文:GGP事務局 特記なき写真村田和総)
*1 シェアリングエコノミー関連調査 2022年度調査結果(市場規模)
「少子化に向き合う社会デザイン会議」の詳細は、プロジェクトレビュー1、2、3,4で紹介しています。また、2025年度の活動記録として以下の3つのレポートを作成しました。
リサーチ編レポート
実証実験編レポート
ビジョン編レポート
動画再生時間:約73分
00:01:09 GGP紹介
00:03:32 イベント本編開始
