2022.01.31 mon

注目の2022年サステナビリティ関連イベント

日本総合研究所 渡辺珠子

2022年も2021年に引き続き、脱炭素社会への移行に向けたさまざまな取り組みが加速すると考えられています。また自然資本や人権なども、引き続き注目の高いサステナビリティのテーマとして、ESG投資機関や企業が関心を寄せています。そのようなサステナビリティ関連の取り組みに影響をもたらすであろう国際的なイベントを今回はピックアップします。

2021年は第1作業部会の報告書が話題になりましたが、20222月には第2作業部会の第6次評価報告書が、そして3月には第3作業部会の第6次評価報告書が発表される予定です。第2作業部会は「気候変動に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変動がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変動への適応のオプションについての評価」、第3作業部会は「温室効果ガスの排出削減など気候変動の緩和のオプションについての評価」を行っています。適応や緩和のあり方について科学的な知見に基づいた評価は、今後の政府や企業の気候変動対応にも大きな影響を与えるものとして注目されています。

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2022年は1972年に開催された環境問題に関する初の政府間会議である国連人間環境会議から50年目の節目の年です。これを機に国連環境計画(UNEP)を中心にさまざまな国連機関等や各国首脳が集まり、気候変動、自然資本、環境汚染対策の同時解決を目指すハイレベル対話として行われるのがストックホルム+50です。環境対策を中心にSDGsやパリ協定の目標達成に向け、各国の取り組みを加速することがストックホルム+50の目的です。

2022年のG7サミット議長国はドイツです。ドイツ外務大臣によれば、今回のテーマも2021年同様、気候変動や新型コロナウィルス感染拡大からの景気回復が議論の中心となる他、民主主義の回復を主に取り上げられる予定です。予定通り2月と3月にIPCCの各作業部会から第6次評価報告書が発表されれば、報告書に基づき気候変動対策や適応や緩和について、議論される可能性があります。

なお202211日に、欧州委員会がEUタクソノミー合致する企業活動を示す補完的な委任規則について、原子力を含める方向で検討を開始と発表しました。未来へのエネルギー移行を促進する手段、すなわち脱炭素社会の実現を促進するエネルギー源として原子力の役割を認めた形です。議長国ドイツは脱原発を推進する国ですが、フランスは原子力推進派です。G7サミットでは原子力と脱炭素をめぐる議論が展開されるかにも注目が集まります。

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毎年1月下旬に開催されていた世界経済フォーラムの年次総会であるダボス会議は、新型コロナウイルスの変異型であるオミクロン株の拡大により、2022年初夏に延期されました。当初開催予定だった117日〜21日には、「ダボス・アジェンダ」としてダボス会議の準備会合という位置づけのオンライン会議が開催されます。

ダボス・アジェンダでは気候変動や持続可能な社会構築に関するテーマも取り上げられています。気候変動については脱炭素を実現するイノベーション推進や、より円滑なエネルギー転換について議論される予定です。また「持続可能な未来のためのESGメトリクス」というセッションでは、持続可能な環境・社会を構築するためのESGの在り方などについて議論が行われる予定です。

なおダボス会議といえば、サステナビリティの観点で世界各国の企業を評価する「世界で最も持続可能な100社(Global 100 Index)」ランキングの発表に毎年注目が集まりますが、今年は1月のダボス・アジェンダ開催中に公表される予定です。

2021年の国連総会では新型コロナウイルス感染症への対応、気候変動や紛争対策などが主に取り上げられましたが、今年の国連総会も同様のテーマが取り上げられるものと予想されます。特に気候変動については、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の成果文書であるグラスゴー気候合意では、各国に対して2022年までに2030年目標を再検討し、強化することに合意しています。実際の達成度や新たな目標は11月開催のCOP27で議論される可能性が高いのですが、国連総会の一般討論演説で先手を打つ形で各国首脳が気候変動の取り組みや自国の成果について言及する可能性もあります。

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▶2021年の国連総会では何が議論されたのか――気候変動関連に注目

2021年に開催されたCOP26は地球の平均気温上昇を工業か以前の水準より1.5℃以内に抑える努力を追求すること、また世界の石炭火力発電所の段階的廃止が成果文書であるグラスゴー気候合意に盛り込まれたことが話題となりました。またそのためには世界のCO2排出量を2010年比で2030年までに45%削減することが必要であり、世界全体でさらに約190億トン〜230億トンの削減が求められています。現在の各国の削減目標だけではこのギャップを埋めきれないことはCOP26でも議論されました。エジプトで開催されるCOP27ではIPCCの第6次評価報告書も踏まえつつ、さらなる気候変動対策が議論されることが予想されます。

2022年はフランスで大統領選、アメリカで中間選挙も行われ、その結果によって主要国の気候変動策に変化が現れるかもしれません。この点も含め、2022年も2021年に引き続き、気候変動を中心とした議論に引き続き注目する必要があります。

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